– Message –

代表メッセージ

私が病院に勤務していたとき、医療の質がばらばらであることを目の当たりにし、強い危機感を抱いたことを覚えています。同じ患者さんでも、たまたま受診した医療機関や医師によって診断や治療が全く異なるケースは少なくありません。

こうしたアンフェアな現状を解決するため活用し始めたのが、実際の臨床現場で得られる情報に基づいた「リアルワールドデータ(RWD)」です。RWDを適切に扱うことで医学の知の創出を加速し、医療に貢献することを目指して、2018年に株式会社データックを創業しました。

データックには臨床と疫学、そしてデータサイエンスのスペシャリストが揃っています。RWDを最大限に活用することで、製薬企業様をはじめとするデータベース研究者が良質な研究デザインと最適な意思決定を行えるようサポートいたします。

また、私たちは社会貢献活動として、将来の公衆衛生分野を担う若手のための勉強会「KAKEHASHI -エビデンスの社会実装に向けて-」などを継続的に実施するほか、希少疾患レジストリの構築・運用等にも中長期的に取り組んでまいります。

二宮 英樹|株式会社データックCEO

二宮 英樹
株式会社データック
代表取締役CEO

– CEO Interview –

代表インタビュー

新しいフェーズへ、データックが注力する3つのポイント
〜広報PRの高住が聞きました〜

高住:はじめに、データックの主な事業であるデータベース研究受託支援サービスを立ち上げた経緯を教えてください。

二宮:データックは2018年の創業から「医療×データサイエンス」を軸に事業を展開してきましたが、製薬企業の方々から「データベース研究プロジェクトにおいて後戻りや再解析・遅延が発生してとても困っている」とか「データベース研究を支援してくれる信頼できるパートナーが欲しい」といったお悩みをたびたび耳にしました。これは特定の企業に限ったものではなく、製薬業界全体が抱える共通の課題だと気づいたのです。 製薬企業の課題は医療の質に直接影響を与える可能性があるので、「データックがこの状況を変えよう、これこそがデータックの天命だ」という決意で、データベース研究の受託支援サービスを始めました。データックは「医学の知の創出を加速する」というミッションのもと、リアルワールドデータ(RWD)の価値を最大化する取り組みを行っています。


高住:「医学の知の創出を加速する」というミッションは、エビデンスの創出を通じて医療・社会に貢献するという意味かと思いますが、製薬企業としてはエビデンスを製品戦略や臨床にどう結びつけるかが重要になってきますよね。それらをどのように調和させるべきか、二宮さんの視点をお聞かせください。

二宮:クライアントである製薬企業が医薬品の開発や普及に成功することは、まさに社会貢献そのものと言えます。そして、その成功にデータックが支援という形で貢献できたなら、それこそがデータック自身の成功なのです。鍵になるのは「製品戦略と研究戦略が上流にあって、それらに臨床と疫学、そしてデータベースが噛み合って一つの綺麗なストーリーを描くこと」だと考えています。戦略を軸とした上で、臨床が現状どのような課題を抱えているのかを正しく理解し、その上で適切なクリニカル・クエスチョン(CQ)を設定して、研究が臨床に与えるインパクトを見極めながら研究をデザインする必要があります。非常に高度で専門的ですが、このあたりは業界として非常に伸び代のある部分だと考えています。

インタビューに答えるデータックCEO・二宮 英樹

高住:エビデンス創出の過程で特に重視していることは何ですか?

二宮:まず臨床理解が必須です。臨床と疫学のデータを融合させ、ゴールからの逆算で研究プロジェクトをデザインすることが大切です。エビデンスを作る、伝える、使う、というサイクルにおいて、最終的にエビデンスを使う人々はどのように臨床に携わっているのか、何を課題として抱えているのか、そしてどのようにエビデンスを使い、医療者や患者さんの行動変容を促し、大きなインパクトを残せるか、これらを考える必要があります。つまり、研究結果としての論文化の先にある「エビデンスをつたえる・つかう」まで見据えて研究プロジェクトを設計することがポイントです。


高住:研究プロジェクトを成功に導くための体制はどのように構築しているのですか?

二宮:現在、仕組み化や組織作りに注力しています。データックでは、研究戦略やコンセプト作りの段階からクライアントとご一緒させていただくことが多いので、まずは研究の理想やゴールを明確に定義・合意することから始まります。研究には多くの人が関わりますし、期間も長いため、理想のチーム編成をできるかどうか、そしてプロジェクトマネジメントが成否の鍵を握ります。プロジェクトマネジメントは、データックとして現在進行形で強化している領域です。


高住:その実現に向けたデータックの課題は何でしょうか?

二宮:2023年末に実施した顧客満足度調査では、疫学・臨床・データにおける専門性という点で非常に高い評価をいただくことができました。これは非常に喜ばしいことです。利用可能なデータベースが増えて機能も進化を続ける中、現状に満足せずさらなる磨きをかけて、データベースの限界を超えられるように挑戦していきたいと考えています。 また、より注力すべきテーマとしては大きく三つあると考えています。一つ目は、内省とフィードバックを重視し、改善を繰り返して成長すること。二つ目は、改善した点を含めて積極的に情報発信をすること。そして三つ目が、特に重要なテーマであるカスタマーサクセス支援です。製薬企業の研究担当者は、研究そのものだけでなく予算の確保や社内調整、臨床医との関係構築といった複雑な業務を多く抱えていますし、中には不安を感じている方もいらっしゃいます。各社・各担当者が抱える不安や課題に寄り添うこと、慮ることも大切にしながら、プロジェクトを成功に導けるよう努めていきます。


高住:データックが今後目指す姿を教えてください。

二宮:クライアントの長期的なパートナーとして同じ方向を見ながら、より大きなエビデンスの力を社会に提供し続ける未来を描いています。クライアントから信頼され、どんなことでも相談していただけるようなパートナーとして、クライアントと一緒に「医学の知の創出を加速する」というミッションを達成します。

インタビューに答えるデータックCEO・二宮 英樹
データックCEO・二宮英樹(2024年10月)

リアルワールドデータ(RWD)の価値について

世界的にリアルワールドデータが注目され、積極的な活用が進んでいます。その目的は様々ですが、例えば、Five Toosを代表とするランダム化比較実験(RCT)を実施しづらい状況におけるエビデンス構築、迅速さが求められるエビデンス構築医学の進歩とともに、日々変わり続ける臨床現場の課題把握、エビデンスに基づく医療の普及実態調査、医療資源に関する分析、医療施策の効果測定等で活用されています。

RWD活用・データベース研究は数ある手段の一つに過ぎないからこそ、使いどころが大切です。私たちはRWD活用のスペシャリストとして、その価値を最大化できるシナリオの提案も含めて、日々の研究に向き合っています。

  • Five Toos:too few(症例数が少ない)、too narrow(特殊な患者が除外されている)、too median-aged(高齢者や小児は除外されている)、too simple(投与方法が単純)、too brief(投与期間が短い)を指します。